「FXは資金管理が大事!」
そんな言葉をよく耳にしますが、実際の所「資金管理の重要性なんて、正直よく分からない…」と言う方が多いのではないでしょうか?
最初は手法にばかり目が行ってしまいがちですが、資金管理も手法と同じか、それ以上に重要です。
「資金管理のやり方を知らずに、とりあえず勝てそうな手法を試す」というのは、
格闘技で例えると「ガードや構えの方法を知らずに、派手なアッパーの練習をする」というのと似ています。
当たれば大勝ちするかもしれませんが、当てられる確率は低く、負けた場合は命の危険さえあります。
しかし、ちゃんと守りの方法を知っていれば、大怪我を避け、チャンスを待って反撃する事もできるようになります。
資金管理を変えるだけでも、損益の金額が大きく変わります。
具体的な例を見ていきましょう。
以下の画像は「同じトレード結果に、異なる資金管理を施した際の検証結果」です。
「2%ルール」「固定ロット」「玉操作」という3種類の資金管理を反映させましたが、
最終利益を見ると「約2万円の損失」「±0円でトントン」「2万円の利益」と、結果に大きく差が出ています。
実は、上記の検証で用いたトレード結果は、「100回トレードして、獲得pipsの合計が0」というものです。
「獲得pipsが0になるなら、損益もゼロになるのでは?」と思いがちです。
しかし、実際は資金管理が変わるだけで損益は変わりますし、手法と資金管理の相性が悪いと「相場には負けてないのに資金が減る」という現象も起こってしまいます。
資金管理ができていれば、守りをしっかり固めつつ、トレード手法のポテンシャルも高めていくことが可能です。
今回の記事では、そんなFXの資金管理を、基本から徹底解説していきます。
後半では、先程紹介した「異なる資金管理を施した際の検証結果」を、あなたの取引履歴でシミュレーションできるFX資金管理エクセルの配布も行っています。
もしあなたが、
「色んな手法を試してみたけど、いつも利益が出ない」
「初心者なので、そもそも資金管理が何かよく分からない」
と悩んでいるなら、ぜひ最後まで見ていって下さい。
まずは資金管理の超基本から解説していきます。
「基礎知識は必要ない」という方は2. 資金管理の落とし穴から読んでみて下さい。
そもそもFXの資金管理とは何か?
FXの資金管理とは、負ける事があっても、複数回トレードを行うことで、最終的に資金が増えていくようにポジションを管理することです。
資金が増えていくようにポジション管理ができていれば良いのですから、そのやり方は何でもOKで、人それぞれに色んな資金管理の方法があります。
もし、これから資金管理を学び始めるのであれば、
様々な資金管理の方法を見て、自分の性格や手法に合ったやり方を取り入れていく必要があります。
資金管理のやり方として代表的なものは、以下の3つがあります。
- 最適ロットの計算
想定した損失額以下に収まるロット数を計算する - 2%ルール
1回のトレードでリスクに晒す金額を、資金の2%以下に収める - 勝率と損益比率のバランス管理
勝率が損益の比率に見合っているかを管理する
上記3つを覚えておけば、資金管理の基本的な考え方が理解できるようになります。
ここからは、これら3つの資金管理の具体的なやり方を解説していきます。
FX資金管理方法1「最適ロットの計算」
「最適ロットの計算」とは、発注するポジションの通貨量を、想定した損失額で収まるように調整することです。
例えば、USD/JPYを100pips逆行で損切りする場合、
その損失額は「10万通貨のポジションなら10万円」「1,000通貨のポジションなら1,000円」といった具合で、
同じ損失pipsでも、発注する通貨量によって異なる損失額が発生します。
つまり、損切りするpipsがいくつだろうが、発注量さえ変えてしまえば、損失額は自分でコントロールできるという訳です。
これを利用して「損失額が許容金額を超えないポジションサイズはどれぐらいなのか」を計算します。
「最適ロットの計算」は、以下の手順で行います。
- 許容損失額を決める
- 損切りpip数を確認する
- 最適ロット数を計算する
手順1:許容損失額を決める
まずは許容損失額を決めます。
許容損失額とは、一回のトレードで、あなたが許容できる損失の金額です。
「1万円までならOK」「1,000円なら平気」など、この金額は個人の金銭感覚によって異なるものなので、まずは「自分がいくらの損失まで耐えられるか?」を自問する必要があります。
どうしても決められない場合は、後述の「2%ルール」なども参考にしましょう。
手順2:損切りpip数を確認する
許容損失額を決めたら、次はチャートを見て「これから発注するポジションで、何pips逆行したら損切りするか?」を確認します。
JPYが絡む通貨ペアですと、「1pip = 0.01」となりますので、
例えばUSD/JPYを「110.100」で買い注文し、「110.000」で損切りする場合、損切りpip数は「10pips」になります。
JPYが絡まない通貨ペアですと、「1pip = 0.0001」となります※ので、
例えばEUR/USDを「1.19000」で買い注文し、「1.18500」で損切りする場合、損切りpip数は「50pips」になります。
※EUR/USDなど、小数点以下5桁目まで市場価格が表示される通貨ペアが該当します。
JPYが絡まない通貨ペアはほぼ全てが小数点以下5桁目まで表示されますが、ごく一部のマイナー通貨ペアでは該当しないケースもあります。
手順3:最適ロット数を計算する
「許容損失額」と「損切りpips」が分かったら、ある計算式に当てはめて、許容損失額に合わせた最適ロットを計算します。
最適ロットの計算式は、トレードする通貨ペアにJPYが絡むかどうかで変化します。
JPYが絡む通貨ペアの場合
USD/JPYのように、通貨ペアにJPYが絡む場合は、以下の計算式で最適ロットを計算します。
許容損失額 ÷ (損切りpips ÷ 100) = 最適ロット
JPYが絡む通貨ペアの最適ロット計算例
仮に許容損失額が3,000円、損切りpip数が100pipsだった場合、
3,000円 ÷ (100 ÷ 100) = 3,000
ですので、最適ロットは3,000通貨となります。
円が絡まない通貨ペアの場合
EUR/USDなど、通貨ペアにJPYが絡まない場合は、以下の計算式で最適ロットを計算します。
許容損失額 ÷ (損切りpips ÷ 10000※ × 対円レート) = 最適ロット
※1pipの単位が「0.0001」となる通貨ペアの場合は「10000」が該当します。
一部のマイナー通貨ペアでは、1pipの単位が異なる場合がありますが、その場合は上記の計算式は該当しないので注意して下さい。
JPYが絡まない通貨ペアの最適ロット計算例
円が絡まない通貨ペアの場合、トレードする通貨ペア右側の通貨の対円レートを加えてやる必要があります。
EUR/USDをトレードする場合、右側の通貨がUSDですので、USDの対円レート(=USD/JPYのレート)を加えます。
仮に許容損失額が3,000円、損切りpip数が100pips、対円レートが120円だった場合、
3,000円 ÷ (100 ÷ 10000 × 120) = 2,500
ですので、最適ロットは2,500通貨となります。
計算手順は以上です。
ただ、トレードする度に計算するのは少し面倒なんですよね。
許容損失額を1万円とした場合の発注量の一覧
大まかな最適ロットがわかる一覧表を作成したので、目安として利用して下さい。
一覧表の見方や使い方は、画像の下で解説しています。
上記の表の使い方は、トレードする通貨ペアにJPYが絡むかどうかで変わってきます。
USD/JPYやEUR/JPYなど、トレードする通貨ペアにJPYが絡む場合は、一覧表の「100円」の列を確認して下さい。
「USD/JPYで50pipsで損切り」という場合は「100円の列の、50pipsの行」を確認します。
すると「20,000」が該当しますが、単位は通貨単位ですので「1ロット=10万通貨」の取引口座では「0.2ロット」が最適ロットになります。
EUR/USDやGBP/AUDなど、トレードする通貨ペアにJPYが絡まない場合は、通貨ペア右側の通貨の対円レートに近い列を確認して下さい。
EUR/USDを取引する場合、右側の通貨はUSDですので、USDの対円レート(=USD/JPYのレート)を参照します。
「EUR/USDで80pipsで損切り」「USDの対円レートが110円」という場合は、「110円の列の、80pipsの行」を確認します。
すると「11,363」が該当します。
単位は通貨単位ですので、「1ロット=10万通貨」の取引口座では「0.11ロット」が最適ロットになります。
条件を変えて計算したい場合
「許容損失額が1万円じゃない」という方は、許容損失額の倍率に合わせて通貨量を増やすことで、大まかな最適ロットが分かります。
- 「許容損失額が2万円」の場合 = 損失額が2倍になっているので、通貨量を2倍にする
- 「許容損失額が5,000円」の場合 = 損失額が半分になっているので、通貨量を半分にする
「損失pipや対円レートを細かく指定して、もっと正確な最適ロットが知りたい」という方は、
当記事の後半で配布している資金管理エクセルに「最適ロット計算機」を入れておいたので、そちらをご活用下さい。
「最適ロットの計算」のメリット
最適ロットの一覧表を見ると分かりますが、「最適ロットの計算」は損失pipが小さいほどロットを上げられるのが最大のメリットです。
損切りする価格まで引き付けてからエントリーすることで、許容損失額を上げるリスクをとらずに、大きなリターンを狙えるようになります。
「利益を増やしたい」と思うなら、下手に許容損失額を上げるのではなく、より精度の高いエントリーポイントを探っていくようにしましょう。
根拠なくリスクを引き上げると、正常な判断ができなくなります。
次の「2%ルール」を参考に、適切なリスク許容度を考えてみましょう。
FX資金管理方法2「2%ルール」
「2%ルール」とは、「1回のトレードでリスクに晒す金額は、資金の2%以下に収める」というものです。
例えば、トレード資金が100万円の場合は、1回のトレードで発生する損失額が2万円を超えないようにします。
具体的なロット数の計算は、前述の「最適ロットの計算」と同じやり方で行います。
ただし、「2%ルール」では資金の増減に比例して許容損失額が変化することになるため、トレードごとに最適ロットを計算する必要があります。
2%ルールを採用するメリット
リスクに晒す金額を「資金の2%まで」と定める事で、以下のようなメリットが生まれます。
- 精神的な負担が軽くなる
- 複利が効く
- 理論上破産しない
メリット1:精神的な負担が軽くなる
FXトレーダーなら、「プロスペクト理論」や「損失回避の法則」という言葉を聞いた事があるのではないでしょうか?
端的に言うと、それらは「人間は利益が狙える場合はリスクを避けようとし、損失を被る場合はリスクをとろうとする法則」を意味しています。
▼プロスペクト理論のイメージ
FXで大きなリターンを求めると、同時に大きなリスクを取る必要があります。
しかし、取っているリスクが大きいほど、感情が理性の邪魔をしやすく、
結果的に「損切りラインを動かしてしまう」「想定していなかったナンピンをしてしまう」など、
損失を回避するために本来の戦略とは異なる行動をとってしまう可能性が高くなってしまいます。
しかし、損失が発生しても資金の2%程度で済むと分かっていれば、正常な判断力を保ち、ルール通りのトレードがしやすくなるという訳です。
メリット2:複利が効く
「複利」とは、取引で得た利益を更に投資していくことで、利益が利益を生み、資金が雪だるま式に増えていく効果のことです。
「2%ルール」は、勝って資金が増えれば、リスクに晒す金額も上がるため、連勝するほど複利効果が発揮されます。
「勝った場合の利益が、リスクに晒した金額と同額になる」と仮定すると、
リスクに晒す金額や資金は以下のように増えていきます。
- 資金100万円で開始する場合、最初にリスクに晒すのは「100万円の2%」である2万円。
勝利した場合、資金は102万円に増える。 - 次にリスクに晒すのは「102万円の2%」である2万400円。
勝利した場合、資金は104万400円に増える。 - 次にリスクに晒すのは「104万400円の2%」である2万808円。
勝利した場合、資金は106万1,208円に増える。
この調子で10連勝まで行った場合、リスクに晒す金額や資金は以下のように増えていきます。
連勝数 | リスクに晒す金額 | 資金 |
---|---|---|
0 | 0 | 1,000,000 |
1 | 20,000 | 1,020,000 |
2 | 20,400 | 1,040,400 |
3 | 20,808 | 1,061,208 |
4 | 21,224 | 1,082,432 |
5 | 21,649 | 1,104,081 |
6 | 22,082 | 1,126,162 |
7 | 22,523 | 1,148,686 |
8 | 22,974 | 1,171,659 |
9 | 23,433 | 1,195,093 |
10 | 23,902 | 1,218,994 |
100万円の資金を2%ルールで運用し、10連勝した場合の利益は合計21万8,994円です。
一方、許容損失額を2万円に固定してトレードした場合、10連勝した場合の利益は合計20万円です。
2%ルールで複利運用する場合、1回のトレードで取るリスクは少しずつしか上げていません。
しかし、トレード回数を重ねていくと資金の差が徐々に広がっていきます。
メリット3:理論上破産しない
資金100万円で、許容損失額を2万円に固定してトレードする場合、50連敗すると破産します。
一方、2%ルールでは、資金の一定割合のみを賭け続けていく形になるため、理論上は破産しません。
資金100万円で、50連敗した場合でも36万4,170円の資金が残りますし、100連敗した場合でも13万2,620円の資金が残ります。
勝てば勝つほど資金が増えて、いくら負けても破産しない。
そんな夢のような「複利」ですが、実は「複利の罠」と呼ばれるデメリットもあるので注意が必要です。
「複利の罠」の詳細は資金管理の落とし穴で後述します。
なぜ「2%」なの?
「2%」という数値は、有名な投資本「投資苑2 ──トレーディングルームにようこそ」などで紹介される定番の数値です。
そのため、実は「1%ルール」や「3%ルール」など、具体的な数値は人によって多少異なっている場合もあります。
更に「資金」というのも、「FX口座に預けているお金のこと」だったり、「FX以外も含む投資に回しているお金全てのこと」だったりと、実は人によって定義が微妙に曖昧です。
結局、重要なのはその数値ではなく「リスクに晒す割合を決める」ということです。
最後は「決めた割合で連敗しても正常な判断ができるか」という自分の金銭感覚に委ねられます。
まずは2%で検討してみて、それでも怖ければ割合を下げ、もっとリスクを取りたければ割合を上げていくようにしましょう。
実力や手法に自信があるなら、好きにリスクを上げられるのもFXの魅力です。
あなたの取引手法がどれだけ優れているかは、「勝率や損益比率のバランス」を見ると分かります。
FX資金管理方法3「勝率と損益比率のバランス管理」
「勝率と損益比率のバランス管理」とは、勝率が損益の比率に見合っているかを管理することです。
初心者の頃はとくかく「勝率」にこだわりがちですが、実は勝率が高ければ良いというのは間違いです。
FXでは「勝率と損益比率のバランスが取れているか」の方が重要です。
- 勝率とは?
- 複数のトレードの内、勝った回数の割合のこと。
「勝った回数 ÷ トレード数 × 100」で計算が可能。 - 損益比率とは?
- 1回のトレードで「負けた場合の損失額」と「勝った場合の利益額」の比率のこと。
損失額が1万円でも利益額が2万円となる場合、損益比率は「1:2」となります。
「リスクリワード」「ペイオフレシオ」とも呼ばれます。
なぜ勝率と損益比率のバランスが重要なのかは、悪い例と良い例を見ていくと分かります。
勝率と損益比率のバランスが悪い例
例えば、勝率90%という手法があるとします。
一見すごそうですが、損益比率が20:1であったとしたら、それは優れた手法とは言えません。
これは例えば「ロングでエントリーした場合、10pips上がったら利確しますが、下がった場合は-200pipsまで耐える」といった手法です。
勝率は90%ですので、10回のトレードで9回勝つことになりますが、「利益10pips × 9勝」で利益の合計は90pipsしかありません。
負けは一回しかありませんが、その損失は200pipsもあります。
つまり、トレードを続けると利益をコツコツ積み重ねても、一回の負けでドカンと負けることになり、勝率と損益比率のバランスは悪いというのが分かります。
利確は早く、損切りは遅くした場合、勝率が上がるのは当然ですが、利益は残りません。
次は、勝率と損益比率のバランスがしっかりとれている例を見てみましょう。
勝率と損益比率のバランスが良い例
例えば、勝率50%という手法があったとします。
こちらの損益比率は1:2です。
これは例えば「ロングでエントリーした場合、200pips上がったら利確しますが、下がった場合は-100pipsまで耐える」といった手法です。
今回の勝率は50%ですので、10回のトレードで勝つのは5回だけですが、「利益200pips × 5勝」で利益の合計は1,000pipsあります。
負けも5回ありますが、「損失100pips × 5敗」で損失の合計は500pipsです。
「利益1,000pips – 損失500pips = 500pips」なので、10回トレードをするごとに500pipsの利益が得られることになります。
トレードを続けると利益が増え続けるため、勝率と損益比率のバランスは良いと言えます。
つまり「トレードを続けた場合に、しっかり資金が増えていく状態になっているか」を管理する訳です。
勝率と損益比率のバランスが悪い場合は、逆に破産する確率が上がってしまいます。
バルサラの破産確率表
取引手法の「勝率と損益比率のバランス」を確認したら、合わせて「バルサラの破産確立表」をチェックしましょう。
バルサラの破産確率表とは?
バルサラの破産確立表とは、ナウザー・J・バルサラという数学者が「Money Management Strategies for Futures Traders」という著書でまとめた、
複利運用した場合の破産確立を「勝率・損益比率・リスクに晒す資金の割合」から割り出して一覧表にしたものです。
バルサラの破産確立表は「リスクに晒す資金の割合」が異なる、6種類の表があります。
(100%、50%、33.33%、25%、20%、10%の6種類)
その中でも「リスクに晒す資金の割合」が最も低い「10%」の破産確立表は以下の通りとなっています。
自分の「損益比率」と「勝率」が交差する場所に書かれている数値が、自分の破産確立となります。
破産確立1%以下は緑、10%以上は赤で表示しています。
「勝率と損益比率のバランスが良い例」で紹介した手法のように、勝率50%で損益比率が1:2で取引していた場合、破産確立は「0.8%」となります。
一般的に、破産確立は1~2%以下が望ましいとされているため、この手法の破産確立は合格点であることが分かります。
バルサラの破産確率表はあくまで目安
破産確立が低いからと言って「絶対に破産しない」という訳ではありません。
バルサラの破産確率表は、あくまで「自分の資金管理の破産確立」を確認する目安として利用します。
「ただの目安なら、気にする必要はないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、「損益比率1:1で勝率が50%」でも「破産確立が99%もある」など、
一見すると問題無さそうな資金管理でも、実は破産確立が高い場合もあります。
勝率や損益比率を確認したら、念のためバルサラの破産確立表もチェックしておきましょう。
自分では大丈夫だと思っても「実は危険な資金管理だった」という事もあります。
次の章では、そんな「資金管理の落とし穴」を解説していきます。
資金管理の落とし穴
ここまで、代表的な資金管理を3つ紹介してきました。
最初に紹介した「最適ロットの計算」は資金管理の超基本であり、デメリットも特に無いため、覚えておいて損はありません。
しかし、「2%ルール」と「勝率と損益比率のバランス管理」には落とし穴が潜んでいて、万人向けという訳ではありません。
特に「2%ルールで複利運用を狙いたい」という方に知っておいてほしいのは「複利の罠」と呼ばれる現象です。
複利の罠
前述の「バルサラの破産確立表」では「損益比率1:1で勝率が50%」でも「破産確立が99%」という記載がありました。
損益比率1:1というと、「100pips逆行で損切り」「100pips順行で利確」というような損益比率です。
更に勝率50%なら、最終的な損益は0で、破産はしないんじゃないの?と思いますよね。
この資金の変化をグラフにすると以下のようなイメージになります。
確かに、「ずっと同じロットでトレードを続けた場合」は上のグラフのようになるのですが、
「2%ルール」のような、「資金の一定割合を基準にしてロット数を決める場合」には、「複利の罠」と呼ばれる現象が発生し、資金が着実に減り続けます。
複利の罠とは?
複利の罠とは、トレーダーが勝った回数と負けた回数(あるいが獲得pipと損失pip)が同じであっても、同一の資金割合を賭け続けると資金が目減りしていく現象のことです。
なぜそのような現象が起こるのかは、実際に「負け→勝ち」または「勝ち→負け」となった時に、資金がどう変化するかを見ると分かります。
複利の罠が発生する例
分かりやすい例として、資金を100万円、リスクに晒す割合を10%として見てみましょう。
「含み損益が資金の10%になったらポジションを決済する」という形です。
2回トレード行い、結果が「負け→勝ち」となった場合、資金は以下のように変化します。
- 初期資金を100万円とした場合、最初にリスクに晒すのは資金の10%である10万円
- 1回目のトレードで負けると、10万円の損失が発生し資金は90万円に減る
- 資金90万円の場合、次にリスクに晒すのは資金の10%である9万円
- 2回目のトレードに勝った場合、9万円の利益を獲得し資金は99万円に増える
結果として、同じ割合をリスクに晒し、1勝1敗しただけですが、資金が1万円目減りしています。
もちろん、これは最初に勝ってから負けた場合でも結果は同じです。
以上が複利の罠の起こる仕組みです。
次は具体的なトレード例に複利運用を当てはめて、複利の罠をシミュレーションしてみましょう。
FXで複利の罠をシミュレーション
以下のように、「勝率50%、損益比率1:1、合計獲得pips0」となる手法的には完全に引き分けの取引履歴があったとします。
- 初期資金は100万円
- 100pips順行で利確
- 100pips逆行で損切り
- 10戦5勝5敗
- 取引銘柄はUSD/JPY
- 勝ち負けは交互に発生
では、この取引履歴に「2%ルールで複利運用」という資金管理を反映させてみましょう。
注目したいのは「発注通貨数」と「資金(取引後)」の変化です。
「発注通貨数」の変化
表の中間にある「発注通貨数」では負けた時の発注通貨数は赤太字、勝った時の発注通貨数は緑太字にしています。
赤文字と緑文字を比較して見ていくと、
「赤文字の方が数値が大きい=負ける時はロットが大きく、勝つ時はロットが小さくなる」
という現象が発生しているのがわかります。
複利運用は
- 勝つ→残高が増える→許容損失額が上がる→次のロットを上げる
- 負ける→残高が減る→許容損失額が下がる→次のロットを下げる
という仕組みです。
これを省略すると
- 勝ったらロットを上げる
- 負けたらロットを下げる
となります。
勝率50%に近いと「勝ったら次は負ける」「負けたら次は勝つ」という形になりやすいので、
どうしても「ロットを上げたら負ける」「ロットを下げたら勝つ」という状況に陥ってしまいがちです。
「資金(取引後)」の変化
表の一番右側「資金(取引後)」は「そのトレードを行った結果、残高がいくらになったか」を表示させています。
この「資金(取引後)」の変化をグラフにすると以下のようになります。
今回は100pipsの損益が交互に発生しているだけなので、2回トレードするごとに合計獲得pipsは0になりますが、その度に資金は着実に減っていきます。
結果的に「トレードするほど資金が減っていく」という状況になってしまっていますが、
複利運用による資金の減少は僅かな差なので、誤差程度にしか考えない場合が多いのも怖い所です。
最初は下手に複利を狙わない方が無難です。
色んなトレード手法を試している間に、実力とは関係なく資金管理だけで負ける可能性があります。
複利運用はトレーダーに不利?
上記の画像でも分かるように、複利運用をしていると、実力的には相場と引き分けのトレーダーでも、じわじわと着実に資金が吸われていきます。
結果として、
- 強い人:資金を増やし続ける
- 引き分けの人:資金が減り続ける
- 弱い人:資金が減り続ける
という、トレーダーが不利な状況が自然と出来上がっていきます。
もちろん、複利運用が必ずしも不利という訳ではありません。
「勝率や損益比率のバランスが良いトレード」をしている人は、着実に資金を増やし、複利運用の恩恵を受ける事ができます。
しかし、「勝率や損益比率のバランスが良いトレード」をする事自体が、初心者にはなかなか難しいんですよね。
「勝率や損益比率のバランスが良いトレード」は難易度が高い
代表的なFXの資金管理方法の3つ目として「勝率や損益比率のバランス管理」がありました。
しかし、「勝率や損益比率のバランスが良いトレードを行う」と口で言うのは簡単でも、実際やるのは簡単ではありません。
単純な確率論で言えば、利益率を大きくすれば、勝率は下がります。
上記画像は「損益比率が1:1なら利確できていたのに、結局反転して損切りになってしまった」というパターンです。
結局の所、「ここで仕掛ければ勝率が高い」「この手法なら優れた損益比率が期待できる」というトレードを実現していくには、「豊富な経験や知識に裏付けられた相場観」が必要となってきます。
勝率や損益比率のバランスを意識するのは良いことです.
ただ、初心者の内は思い通りにいかない事も多いため、「資金管理だけで勝てる方法」も組み合わせて守りを強化しましょう。
FXに資金管理だけで勝てる方法
私が「玉操作」と呼んでいる資金管理なら、手法の優位性が0でも勝つ事が可能です。
ここからは、そんな「玉操作」のやり方を詳しく解説します。
「玉操作」は「逆・複利の罠」を狙う資金管理
「複利の罠」とは、「負けたらロットを下げる」「勝ったらロットを上げる」という形でトレードしていく結果、資金が徐々に減ってしまう現象でした。
それとは逆に、「負けたらロットを上げる」「勝ったらロットを下げる」という形でトレードすると、実は獲得pips0でも資金が徐々に増えていく、いわば「逆・複利の罠」が発生します。
※「逆・複利の罠」は当記事ライターの造語ですのでご注意下さい。
逆・複利の罠のロジック
分かりやすい例として、資金を100万円、最初にリスクに晒す割合を10%とし、以降は以下のようなルールでロットを決めていきます。
- 勝った場合:増えた資金の割合だけ、ロットの割合を下げる
- 負けた場合:減った資金の割合だけ、ロットの割合を上げる
このルールで2回トレード行い、結果が「負け→勝ち」となった場合、資金は以下のように変化します。
- 初期資金を100万円とした場合、最初にリスクに晒すのは資金の10%である10万円
- 1回目のトレードで負けると、10万円の損失が発生し資金は90万円に減る
- 減った資金の割合が10%ですので、ロットの割合を10%増やし、11万円をリスクに晒す
- 2回目のトレードに勝った場合、11万円の利益を獲得し資金は101万円に増える
結果として資金が1万円増えています。
もちろん、これは最初に勝ってから負けた場合でも結果は同じです。
どちらも結果は1勝1敗ですが、負けたらロットを上げ、勝ったらロットを下げることで「逆・複利の罠」が発生し、資金が増えています。
次は、このロジックをFXに当てはめて見てみましょう。
「逆・複利の罠」をFXに反映させた具体例
以下のように、「勝率50%、損益比率1:1、合計獲得pips0」となる手法的には完全に引き分けの取引履歴があったとします。
- 初期資金は100万円
- 100pips順行で利確
- 100pips逆行で損切り
- 10戦5勝5敗
- 取引銘柄はUSD/JPY
- 勝ち負けは交互に発生
前述の「複利の罠の検証」と同じ取引履歴ですが、今度は「逆・複利の罠」を発生させるため、以下のような資金管理を反映させます。
- 1回目のトレードのみ資金の2%をリスクに晒す
- 2回目以降は
- 勝った場合:増えた資金の割合だけ、ロットの割合を下げる
- 負けた場合:減った資金の割合だけ、ロットの割合を上げる
1回目のトレードでは資金100万円の2%である、2万円をリスクに晒します。
100pipsで損切りなので、最初に発注するのは2万通貨になります。
最初のトレードで負けた場合は資金の2%が減るので、次の発注量は2%上げて2万400通貨でトレードします。
この流れで10回トレードを行うと、結果は下表の通りとなります。
表の一番右側「資金(取引後)」は「そのトレードを行った結果、残高がいくらになったか」を表示させています。
この「資金(取引後)」の変化をグラフにすると以下のようになります。
今回は100pipsの損益が交互に発生しているだけなので、2回トレードするごとに合計獲得pipsは0になりますが、その度に残高が増えていきます。
もっとシンプルなルールにもできる
先程は「逆・複利の罠」を視覚的に分かりやすく説明するため、少し複雑なルールにしてしまいました。
もっとシンプルに「100pips負けるごとに400通貨上げ、100pips勝つごとに400通貨下げる」という形にしても、同じような結果になります。
要は「勝ったらロットを下げる」「負けたらロットを上げる」というやり方で、結果的に「獲得pipsの合計が0になっても残高が増える」という状況になっていればOKです。
次は、玉操作を自分の手法に応用させる方法を詳しく紹介していきます。
資金管理「玉操作」の応用
「玉操作」のルール
「玉操作」は汎用性が高いので、最低限必要な2つのルールさえ押さえておけば、いくらでも応用が効きます。
- 負けたらロットを上げ、勝ったらロットを下げる
- 連敗や破産への対策・管理を行う
1. 負けたらロットを上げ、勝ったらロットを下げる
「1. 負けたらロットを上げ、勝ったらロットを下げる」は「逆・複利の罠」を発生させるためのルールです。
ただ闇雲にロットを上げ下げすれば良いというものでもなく、「〇〇pips負けるごとに▲▲通貨上げ、〇〇pips勝つごとに▲▲通貨下げる」という形で言語化します。
増減させる通貨の量が大きいほど、獲得pipsが0になった時の利益が増えます。
2. 連敗や破産への対策・管理を行う
「2. 連敗や破産への対策・管理を行う」は、玉操作の弱点である「連敗が続くと発注量も膨らみ続ける」という点を克服するためのルールです。
検証結果や取引履歴から、自分の手法の最大連敗数や最大ドローダウンを確認し、最悪の場合でも破産しないようにロットを調整します。
具体的な調整方法は、自分の手法やリスク許容度により異なります。
以下に一例を紹介するので参考にしてみて下さい。
連敗や破産への対策例
例えば「最大連敗数が10連敗」「トレード1回ごとの損失が100pips以下」という手法があったとします。
この手法で「損失額の合計は、最大でも10万円以下に抑えたい」という場合、
「最初は5,000通貨発注し、負けるたび1,000通貨ずつ増やす」というやり方にすれば、10連敗しても損失額が10万円を超えません。
もし「検証結果は最大10連敗だけど、リアルではもっと負けそうで怖い」という場合は、「最大連敗数を15や20に上げて調整する」「ロットを下げる」等の方法で調整を行います。
この辺の調整は計算が複雑になりがちです。
後述するFX資金管理エクセルを利用して頂くと、簡単に計算できるので使ってみて下さいね。
手法や好みに合わせて玉操作の細かい設定を変える
前述の通り、玉操作は「負けたらロットを上げ、勝ったらロットを下げる」「連敗や破産への対策・管理を行う」という基本ルールさえ守れば、細かい所はいくらでも変えられます。
ロットの上げ方にしても、今回は「〇〇pips負けるごとに、発注量を▲▲通貨上げる」という形で紹介しましたが、それに囚われる必要はありません。
「損失pipsより、損失金額の方が分かりやすい」という方は、
「〇〇円負けるごとに、許容損失額を▲▲円上げる」という形でもOKです。
また「最初から調子よく連勝する場合もあるので、ロットを下げるのがもったいない」という方は、
「負けるまでロットを下げない」つまり「ドローダウンに合わせて、取引ロットを上げていく」というやり方も有効です。
後者に関しては、当サイト記事のXMTradingでレバレッジ操作するだけで勝つ相場戦略で詳しく解説しているので参考にしてみて下さい。
最後に、今回紹介した4つの資金管理を試せる「FX資金管理エクセル」を掲載します。
FX資金管理エクセルと使い方
ここでは、当記事で解説した資金管理が試せる「FX資金管理エクセル」をご利用頂けます。
まずは以下のボタンをクリックタップして、FX資金管理エクセルをダウンロードして下さい。
※クリックタップでダウンロードを開始します。
ここからは、上記のFX資金管理エクセルの使い方を解説します。
- 円口座での運用を想定しています。
- 円が絡む通貨ペア、及び1pip単位が「0.0001」になるメジャー通貨ペアに対応しています。
一部のマイナー通貨で見られる「1pip=0.001」など、1pip単位が異なる銘柄では計算できないのでご注意下さい。 - デフォルトで100回までのトレード履歴を入力できます。
- 基本的には、1つの通貨ペアで取引し続けた場合を想定しています。
ただし、円が絡む通貨ペアだけに限定すれば、複数の通貨ペアでも計算が可能です。 - エクセルソフトが無い方は、無料ツールLibreOfficeなどをインストールすればご利用いただけます。
- スマートフォンで閲覧している場合は、エクセルファイルの読み込みアプリが必要になる場合があります。
また、スマホアプリでは、データの閲覧はできても変更ができない場合が多いのでご注意下さい。
FX資金管理エクセルの見方と基本的な使い方
FX資金管理エクセルには、大きく分けると上記の6つの項目があります。
「自分のトレード履歴を入力して、資金管理ごとのパフォーマンスの変化が知りたい」という場合は、
①と②の赤文字の項目にのみ入力を行い、④で結果を確認して下さい。
詳しい解説は以下の閉じ込みメニューの中に入れてあるので、利用する項目を展開させて確認して下さい。
デフォルトでは前述の「逆・複利の罠」をFXに反映させた具体例で紹介した取引履歴が入力されています。
- ①基本設定の入力項目
-
①基本設定の入力項目
「基本設定」の項目では、検証するトレード履歴の基本的な口座情報や初期設定を入力していきます。
初期資金 「口座残高をいくらで始めるか」を入力します。
初期状態では100万円の資金で始めるのを想定して「1000000」と入力されています。
初期発注通貨 「固定ロット」「玉操作」において、「一番最初に発注する通貨量」を入力します。
初期状態では2万通貨で開始するのを想定して「20000」と入力されています。
損切りpips 「2%ルール」において「1回のトレードで損切りするpip数」を入力します。
初期状態では、他の資金管理との比較がしやすいよう「毎回100pipsで損切りする」という想定をしているので、「100」が入力されています。
「損切りpipはトレードごとに変わる」という場合は、あとで「獲得pip」を入力する際、1つずつ別の項目に入力していけるので、ここでは特に変更する必要はありません。
増減通貨/1pip 「玉操作」において「1pip獲得または損失する毎に、何通貨を増減させるか」を入力します。
初期状態では「100pips勝つごとに400通貨下げ、100pips負けるごとに400通貨上げる」という想定になっているため「4」と入力されています。
対円レート 「取引する通貨ペアの、右側の通貨の対円レート」を入力します。
初期状態では、ドル円を取引する想定となっているので、「1」と入力されています。
EUR/USDを取引する場合、右側の通貨は「USD」ですので、その時のドル円レートを入力します。
(ドル円が110円なら「110」と入力)検証する取引期間が長期に渡る場合は、大まかな平均値を入力して下さい。
その場合、為替レートの変動により、計算結果に若干の誤差が発生する事を留意して下さい。1pip単位 「取引する通貨ペアの1pipの単位」を入力します。
円が絡む通貨ペアの1pip単位は「0.01」、
その他の通貨ペアの1pip単位は「0.0001」となります。初期状態では、ドル円を取引する想定となっているので「0.01」と入力されています。
合計トレード数 「検証するトレードの回数」を入力します。
初期状態では「100回トレードをした」という想定をしているので「100」と入力されています。
「いちいち数えるのが面倒」という場合は、先に「獲得pip」を順番に入力していき、最後のトレードの「取引No.」を入力して下さい。
- ②獲得pipの入力項目
-
②獲得pipの入力項目
「獲得pip」では、検証する取引履歴から「各トレードごとの獲得pips」のみを抜き出して順番に入力していきます。
取引No. 「取引No.」には何も入力する必要はありません。
ただ、15列目で表示が固定される仕様となっていますので、「獲得pip」を入力する際はこちらの「取引No.」をよく確認するようにして下さい。
1回目のトレードなら「取引No.」が「1」の列に獲得pipを入力し、
2回目のトレードなら「取引No.」が「2」の列に獲得pipを入力する、という具合です。獲得pip 「トレードごとの獲得pip」を順番に入力していきます。
初期状態では「-100」と「100」が交互に入力されています。
これは、前述の「逆・複利の罠」をFXに反映させた具体例に習い、「100pipsの変動で利確/損切り」「交互に勝ち負けを繰り返す」という想定となっているためです。獲得pips(合計) こちらは「獲得pip」を入力していくと自動で計算される項目ですので、何も入力する必要はありません。
「獲得pipが0の時でも残高が増えている」というのが玉操作の真骨頂です。
「獲得pips(合計)」が「0になった」または「0に近づいた」という時に、残高がどう変化しているかに注目して下さい。
- ③最適ロット計算機
-
③最適ロット計算機
「最適ロット計算機」は、当記事で解説した「最適ロットの計算」を手軽に行うためのツールです。
おまけのようなものですので、「資金管理を変えた場合のパフォーマンスの変化が知りたいだけ」という場合は特に使用する必要はありません。取引ロットに迷ったときにご利用下さい。
許容損失額 「1回のトレードで、いくらまでの損失を許容するか」を入力します。
初期状態では「1回のトレードで1万円まで負けても良い」という想定で「10000」が入力されています。
損失pip数 「これから発注するポジションで、何pips逆行したら損切りするか」を入力します。
初期状態では「エントリーから損切りまでの距離が100pips」という想定で「100」が入力されています。
最適発注数 「最適発注数」は計算された「最適ロット数」が自動的に表示される項目ですので、何も入力する必要はありません。
初期状態では「許容損失額1万円で、ドル円-100pipsで損切りする」という想定ですので、最適ロット数は「10000」と表示されています。
この場合「発注する通貨数を1万通貨に抑えれば、発生する損失額が1万円を超えない」という事がわかります。
最適ロットの計算には、上記に加え「対円レート」と「1pip単位」の入力も必要となります。
「①基本設定の入力項目」の解説を参考に、「対円レート」と「1pip単位」を入力して下さい。
(円が絡む通貨ペアで最適ロットを計算する場合は、初期状態のままで問題ありません)
- ④結果と成績
-
④結果と成績
「結果と成績」は計算結果が表示される項目ですので、全ての項目で何も入力する必要はありません。
ここでは「①基本設定の入力項目」および「②獲得pipの入力項目」での入力内容から計算された、「全トレードの結果や成績」が自動的に表示されます。
「勝敗」「pip」「JPY」という3つの視点から結果を確認できます。
「勝敗」と「pip」の結果には資金管理が影響しないので「検証した手法の純粋なパフォーマンスがどの程度なのか」を確認できます。
それに3種類の資金管理を反映させたのが「JPY」であり、「資金管理別のパフォーマンスの比較」が可能です。結果(勝敗)
「結果(勝敗)」の項目では、トレード結果を「勝ちか負けか」で選別し、その統計が項目ごとに表示されます。
単純な勝ち負けの統計ですので、資金管理は影響していません。ここで特に重要な項目は「勝率(%)」と「最大連敗数」です。
「勝率(%)」は、この後の項目で分かる「平均損益比」と合わせて確認することで、検証した手法の勝率と損益比率のバランスを確認する事が可能です。
「最大連敗数」は、資金管理を最適化する際の目安にできます。
例えば「最大連敗数」が「10」だった場合は、「10連敗しても破産しないよう、資金や発注量を調整する」といった事が可能になります。結果(pip)
「結果(pip)」の項目では、トレード結果から「pips単位での損益結果」を抜き出し、その統計が項目ごとに表示されます。
pip単位で見ていくため、ここでも資金管理は影響しません。特に重要な項目は「平均損益比(:)」と「最大ドローダウンpips」です。
「平均損益比(:)」は、前述の「結果(勝敗)」で出た勝率と合わせて確認することで、検証した手法の勝率と損益比率のバランスを確認する事が可能です。
「最大ドローダウンpips」は、資金管理を最適化する際の目安にできます。
例えば「最大ドローダウンpips」が「100」だった場合は、「100pips負けても破産しないよう、資金や発注量を調整する」といった事が可能になります。結果(JPY)
「結果(JPY)」の項目では、「資金管理のやり方を変えた場合、利益の変化がどれぐらいあるのか」が確認できます。
特に重要な項目は「最終利益」と「最低残高」です。
「最終利益」は、最終残高から初期資金を引いた金額が表示されていて、最終的にどれだけの利益が獲得できたかが分かります。
「最低残高」は、検証中の残高で最も低い値が表示されますが、ここでマイナス値が出ていた場合は、最終的に残高が増えていても、一旦破産している事になります。
例えば最低残高が「-50000」となった場合、「5万円+αを資金に追加して耐えられるようにする」「初期発注通貨や増減通貨を減らす」といった調整が必要です。
- ⑤トレードごとの利益と残高
-
⑤トレードごとの利益と残高
「⑤トレードごとの利益と残高」では、各トレード単体での結果を確認する事が可能です。
「2%ルール」「固定ロット」「玉操作」という大きな3つの項目の中に、
「資金(取引前)」「損切りpips」「発注通貨量」「利益」「資金(取引後)」といった項目が用意されています。ここは計算結果が表示される項目ですので、基本的に何も入力する必要はありません。
ただし「より正確な結果が知りたい」という場合には、「2%ルール」の「損切りpips」を1つずつ入力していく必要があります。資金(取引前) 「そのトレードをする前の資金がいくらあるのか」が表示されています。
損切りpips 2%ルールにのみ「損切りpips」という項目が用意されています。
これは2%ルールの「発注通貨数」が「資金の2% ÷ 損切りpips」で計算されるためです。この項目は「①基本設定の入力項目」の「損切りpips」で入力した値が自動的に反映される仕組みです。
しかし「損切りpipsはトレードごとに異なる」という方が多いかと思います。
より正確に資金管理の結果を知りたい場合には、こちらの項目でトレードごとの損切りpipsを直接入力して下さい。「大体の数値が分かれば良い」という方は、「①基本設定の入力項目」の「損切りpips」に大まかな損切りpipsを入力し、こちらの損切りpipsは変更せずに結果を確認して下さい。
発注通貨量 それぞれの資金管理のやり方から、「そのトレードで発注するべき適切な発注通貨量」が表示されます。
「2%ルール」では「資金の2% ÷ 損切りpips」が適用され、
「固定ロット」では「初期発注通貨」が適用されます。「玉操作」では「獲得pips(合計)」がプラスかマイナスかで計算方法が変わります。
「獲得pips(合計)がプラス」の時は、「獲得pips(合計) × 増減通貨/1pip」が「初期発注通貨」から減算、
「獲得pips(合計)がマイナス」の時は、「獲得pips(合計) × 増減通貨/1pip」が「初期発注通貨」に加算されます。利益 「そのトレード単体で獲得した利益」が表示されます。
資金(取引後) 「そのトレードをした結果、資金がいくらになったか」が表示されています。
FX資金管理のまとめ
さて、今回はFXの資金管理に関する情報を徹底的にまとめてきましたが、いかがでしたか?
最後に、今回の記事の内容をまとめて終わりにしたいと思います。
- 資金管理とは、複数回トレードを行うことで、最終的に資金が増えていくようにポジションを管理すること。
- 資金管理のやり方は人それぞれ。様々な資金管理の方法を参考に、手法に合ったものを取り入れる。
- 資金管理の代表的な例は「最適ロットの計算」「2%ルール」「勝率と損益比率のバランス管理」の3種類。
- 最適ロットの計算とは、発注するポジションの通貨量を、想定した損失額で収まるように調整すること。
- JPYが絡む通貨ペアの最適ロット計算式は「許容損失額 ÷ (損切りpips ÷ 100) = 最適ロット」
- JPYが絡まない通貨ペアの最適ロットの計算式は「許容損失額 ÷ (損切りpips ÷ 10000※ × 対円レート) = 最適ロット」
- 最適ロットの計算は「リスクを正確に管理できる」「損切りラインまで引き付けてからエントリーすることで、許容損失額を上げずにロットを上げられる」という利点がある。
- 最適ロットの計算は資金管理の超基本。他の資金管理でも使う計算法でありデメリットも無いので、とりあえずこれだけでも覚えておきたい。
- 2%ルールとは、1回のトレードでリスクに晒す金額を、資金の2%以下に収めること。
- 2%ルールを採用するメリットは「精神的な負担が軽くなる」「複利が効く」「理論上破産しない」の3つ。
- 複利運用をする場合、手法によってはかえって資金を減らしてしまう場合があるので注意が必要。
- 勝率と損益比率のバランス管理とは、勝率が損益比率に見合っているかを管理すること。
- 勝率と損益比率のバランスが良いトレードには「豊富な経験や知識に裏付けられた相場観」が必要。根拠もなく利確ラインを離しても、勝率を落としてしまうだけの可能性もあるので注意。
- FXに資金管理だけで勝てる方法とは、逆・複利の罠を発生させる「玉操作」
- 玉操作のルールは「負けたらロットを上げ、勝ったらロットを下げる」「連敗や破産への対策・管理を行う」の2つ。
- 「負けたらロットを上げ、勝ったらロットを下げる」は「逆・複利の罠」を発生させるためのルール。
- 「連敗や破産への対策・管理を行う」は、玉操作の弱点である「連敗が続くと発注量も膨らみ続ける」という点を克服するためのルール。
- 玉操作は汎用性が高い。上記2つの基本ルールさえ守れば、細部は手法に合わせて変更できる。
FX初心者の方におすすめなのは、トレードでは勝率と損益比率のバランスを意識しつつ、資金管理として「玉操作」をするというやり方です。
ちなみに、今回紹介したもの以外には
「複数の銘柄や手法でトレードして、リスクヘッジする」
「連敗が続いた場合はしばらくトレードをやめる」
といったことも、資金管理の一環として取り入れている人もいます。
行き詰った時は、新たな資金管理を取り入れてみて下さい。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
当サイトでは、通貨強弱と組み合わせて、1年間 玉操作を行った結果という記事も公開しています。
よろしければ、こちらも参考にしてみて下さいね。
※「FX資金管理エクセル」のバグ報告や機能追加リクエストは、最下部のコメント欄からお気軽にお寄せ下さい。
FX初心者向け関連記事
おすすめコンテンツ
- FXトレーダー専用のインジケーター9点を無料配布
- 一括決済や自動同値撤退などの決済補助
- ラインブレイクでアラート通知
- ローソク足確定までをカウントダウン 等々…
「あったらいいな」を詰め込んだ全9点の特製インジケーターを無料配布。
- トレードするたびに広告報酬の90%をキャッシュバック
- 出金方法は国内銀行送金やbitwalletなど全4種
- 小ロットでもキャッシュバック発生
- 全てのリベート履歴を確認可能
- 会員登録はお名前・メールアドレス・パスワードの入力のみ
所在地:No.50 12F-3, Chenggong Rd, North District, Tainan City, Taiwan
統一番号:No. 24917404
所在地:No.50 12F-3, Chenggong Rd, North District, Tainan City, Taiwan
統一番号:No. 24917404
有用な記事ありがとうございます。
設定項目なのですが
>「玉操作」において「1pip獲得または損失する毎に、何通貨を増減させるか」を入力します。
初期状態では「100pips勝つごとに400通貨下げ、100pips負けるごとに400通貨上げる」という想定になっているため「4」と入力されています。
例えば1pips勝つごとに1通貨上げるときは1で良いのでしょうか?
10pips勝つごとに1000通貨上げる場合は、100で良いのでしょうか?
コメントしていただきありがとうございます。
>例えば1pips勝つごとに1通貨上げるときは1で良いのでしょうか?
>10pips勝つごとに1000通貨上げる場合は、100で良いのでしょうか?
仰る通りです。
増減させる通貨 ÷ 対象pip数 = 増減通貨/1pip
という事になります。
当記事は、今後もアップデートや修正を加えていく予定です。
ご要望やご不明点、より詳しく解説してほしい部分などありましたら、お気軽にコメントしていただければ幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
はじめまして!
この玉操作の例では勝率50% RR=1:1 の破産確率100%の手法での結果だと思うのですが 高勝率手法のような 勝率80% RR=1:0.2 のような場合でも有効ですか?
とうふ様
コメントを投稿して頂きありがとうございます。
>>この玉操作の例では勝率50% RR=1:1 の破産確率100%の手法での結果だと思うのですが
はい、おっしゃる通りです。
この記事は「資金管理だけで勝てる」というのがどういう事かをお伝えしたかったので、
「合計獲得pipsがゼロ」という、優位性も劣位性も無い手法を例とさせていただきました。
手法に優位性がある、つまり合計獲得pipsがプラスになるような手法は、玉操作含む様々な資金管理が有効です。
手法に優位性も劣位性もない、つまり合計獲得pipsがゼロになるような手法は、玉操作なら利益が出せます。
手法に劣位性がある、つまり合計獲得pipsがマイナスになるような手法は、資金管理を持ってしても損失が発生します。
このイメージを簡単な表にすると以下のようになります。
あとは手法との相性や好みの問題となります。
当記事でオススメしている「玉操作」は、獲得pipsが少なくても利益を出しやすく、汎用性の高い資金管理方法となっています。
>>高勝率手法のような 勝率80% RR=1:0.2 のような場合でも有効ですか?
勝率80%で損益比率が1:0.2ですと、少し足りないかもしれません。
例えば、+20pipsで利確、-100pipsで損切りするとし、最終的に8勝2敗となった場合は以下の通りになります。
1. +20pips
2. +20pips
3. +20pips
4. +20pips
5. +20pips
6. +20pips
7. +20pips
8. +20pips
9. -100pips
10. -100pips
上記の合計獲得pipsは-40pipsとなります。
合計獲得pipsが0未満ですと、手法に劣位性があるので、玉操作でもカバーするのは難しいでしょう。
(リスクを上げる事で短期的には利益が出せても、長期的には利益が目減りしていってしまいます。)
玉操作で利益を増やす場合、「合計獲得pipsが最低でも0以上」というのが前提条件となってきます。
(もちろん、獲得pipsがプラスになるような、優位性のある手法でも玉操作は有効です。)
合計獲得pipsを0以上にする場合、「勝率80%なら、損益比率は1:0.25以上」、「損益比率が1:0.2なら、勝率84%以上」が必要になってきます。
これなら、計算上は長期間でも玉操作で利益を出す事ができます。
あとは資金量やポジションサイズの問題になってくるので、当記事でダウンロードして頂けるExcelなどをご利用頂ければと思います。
「玉操作で利益を出す上で、手法に劣位性があってはならない」という点につきましては、記事内でも解説が不十分でした。
大変失礼いたしました。
今後の記事更新の際には、この点をしっかり解説する項目を設けたいと思います。
回答は以上となりますが、他に不明な点などございましたら、またご気軽にコメントを投稿して頂けると幸いです。
よろしくお願いします。
中嶋
良記事ありがとうございます。自分はスキャが主体ですので(デイ・スイングからメイン手法を移動)参考にさせて戴き自分で適正化してスキャにも使用したいと思います。もちろん海外FXふぁんですがー、スプやMT4・5でスキャは厳しいっす(ふぁんクラブさんでAXIORY口座開いて試しました。
トレーダーの欠片さま、コメントして頂きありがとうございます!
さっそく資金管理をご活用頂き、大変嬉しく思います!
また、当サイトから取引口座を開設して頂いたとのこと、誠にありがとうございます。
当記事の内容につきましては、質問やリクエストなどございましたら、ご気軽に投稿して頂けましたら幸いです。
>>スプやMT4・5でスキャは厳しいっす
ご指摘の通り、スキャルピングメインの方にとって、海外FXではスプレッド負けしやすいのが正直な所です。
「玉操作で資金を守りつつ、キャッシュバックでスプレッドを圧縮」という方法でも厳しい場合は、国内のFX会社も選択肢に入ってくるかもしれませんね。
ただ「約定力で劣る国内FXでは、見た目通りでのスプレッドで約定しない」というご意見も頂戴しており、当サイトでは基本的に海外FXを推奨しています。
上記のような事が全ての人に起こるとは限りませんが、ご自身の手法との相性も考慮し、FX会社を選んで頂ければと存じます。
ご参考になりましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
中嶋